日本銀行(BOJ)が公表した9月会合の要旨を受け、市場で10月の追加利上げ観測が後退し、円が売られています。ドル円は158円台前半で推移し、3週連続の上昇に向かっています。要旨は、日銀の利上げが3カ月に1回程度のペースになるとの見方を強めました。次の利上げは12月との読みが広がり、日米金利差が当面縮まりにくいという連想が円安材料になっています。
何が起きたのか
円安の主因は、日本の物価の強さではなく、日銀の利上げ時期に関する見方の変化です。日銀は9月18日の会合で、政策金利を1.25%へ引き上げました。採決は賛成7、反対2でした。日銀は、見通しどおりに推移すれば利上げを続ける方針も示しています。
日本時間10月1日(木)午前8時50分に、この会合の要旨が公表されました。市場は「約3カ月に1回の間隔で動く」と受け止めています。日本の金利先物が織り込む10月の利上げ確率は、月曜日時点の約半分に低下しました。
月曜日の時点では、東京都区部の9月分コアCPI(生鮮食品を除く物価指数)が日銀の目標である2%を大きく上回るとの予想が、利上げ期待を支えていました。要旨はその期待を一部はがした形です。
ドル円は木曜日にもう一段上昇しました。米軍の空母打撃群が3つ目として中東へ向かうとの報道があり、市場参加者が安全資産として円ではなくドルを選んだためです。通常は有事に買われやすい円ですが、今回はドルに資金が向かいました。
要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日銀の政策金利 | 1.25%(9月18日に引き上げ、賛成7・反対2) |
| 要旨の公表 | 日本時間10月1日(木)午前8時50分 |
| ドル円の水準 | 158円台前半(10月1日時点)、3週連続の上昇に向かう |
| 東京都区部コアCPI(9月分) | 予想2.4%(前回1.8%)、日本時間10月2日(金)午前8時30分発表予定 |
| 次の主要イベント | 米雇用統計は日本時間10月2日(金)午後9時30分、FRB会合は10月28日、日本の8月賃金統計は日本時間10月7日(水)午前8時30分 |
なぜ重要なのか・市場への影響
為替の方向を左右する大きな要素の一つが、日米の金利差です。日銀が利上げを急がないなら、円を買う理由が弱まります。今回は利上げの再開自体ではなく、「次の利上げは12月」という時間軸が意識されました。
日銀が12月まで動かない場合、10月に日米金利差を動かせる主体はFRBだけになります。10月28日のFRB会合について、先物市場は利上げの確率を3分の1程度と見ています。利上げがあればドル高の追い風になります。見送りでも、利下げ観測が高まらない限り、ドルは下がりにくい状況です。
地政学リスクも見逃せません。中東情勢が緊迫する局面では、円より先にドルが買われる場面があります。「有事の円買い」が常に成り立つわけではない点には、注意が必要です。
東京都区部のCPIは、全国の数値に約3週間先行する傾向があります。予想の2.4%は目標の2%を上回っており、強ければ10月利上げ観測が再び強まる可能性もあります。ただし、利上げ決定後の会合要旨だけで観測の約半分が消えたため、上振れしても織り込みの戻りは限定的となる可能性もあります。
通貨ペア・市場別の見方
ドル円
- 上値の目安は158.50円です。木曜日の高値はこの少し手前で止まりました。次は9月24日の高値159.00円です。
- 下値は158.00円が最初の支えです。50日指数平滑移動平均線がこの付近にあり、木曜日の上昇局面でも維持されました。次は157.50円で、木曜日の安値は157円をわずかに上回る水準です。
- テクニカル面では、日足のストキャスティクスRSIが82付近にあり、買われすぎ圏です。東京CPIの発表前で、短期的には過熱感がある点は意識したいところです。
- 基本シナリオは、157.50円を終値で維持する限り上方向を見る展開です。ただし日足の終値が157円を割り込むと、この見方は崩れます。
ユーロドル・ポンド円など
- ユーロドルは、FRBの利上げ観測と地政学リスクでドル買いが優勢なら上値が重くなりやすい局面です。
- ポンド円などの円クロスは、ドル円と同様に円売りの影響を受けやすく、日銀の時間軸の変化が追い風になります。一方、159円や160円に向かう局面では、急な円買いへの警戒も必要です。
今後の注目点
- 日本時間10月2日(金)午前8時30分: 東京都区部の9月分コアCPI(予想2.4%)
- 日本時間10月2日(金)午後9時30分: 米雇用統計
- 日本時間10月7日(水)午前8時30分: 日本の8月賃金統計(前回は前年比4.7%増)
- 10月28日: FRB会合(利上げ確率は約3分の1)
- 中東情勢の動向と、安全資産としてドルが選ばれる流れが続くか
よくある質問
Q. 日銀が利上げしたのに、なぜ円安になるのですか?
市場が「次の利上げは12月」と見て、10月の追加利上げ期待が後退したためです。利上げ自体は織り込み済みで、その後のペースに関する見方が為替を動かしています。
Q. 今回は有事なのに、円ではなくドルが買われたのはなぜですか?
中東への空母派遣という材料で、市場がドルを安全資産として選んだためです。円は常に有事に買われるわけではなく、局面によって逃避先が変わる点に注意が必要です。
Q. 東京CPIが強い場合、円は上昇に転じますか?
10月利上げ観測が再燃すれば、円が買い戻される可能性はあります。ただし、会合要旨で観測の約半分が消えた経緯もあり、反応は限定的となる可能性もあります。結果だけで判断せず、159円や157円といった水準での値動きも合わせて確認してください。
出典: FXStreet(海外発の公開情報を編集部が翻訳・解説)
※本記事は海外の公開情報をもとにマネチャ編集部が翻訳・要約・解説したものです。特定の取引や投資を推奨するものではなく、投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。相場・経済情勢は常に変動し、情報が後に修正される場合があります。