米CNBCが実施したFRB調査で、今週のFOMCは政策金利の据え置きを予想する回答が93%に達しました。一方、12月会合での利上げを見込む回答は76%に上り、市場の関心は「いつ引き締めに動くか」に移っています。インフレ高止まりと原油高、長期金利5%超という環境が続く中、ドル円や米株は今後の利上げ観測に敏感な展開が想定されます。
何が起きたのか
米CNBCは、FOMC(米連邦公開市場委員会)の前に毎回、ファンドマネージャー、ストラテジスト、エコノミスト計30人を対象にFRB調査を行っています。今回の結果では、今週の会合で政策金利が据え置かれるとの見方が93%を占めました。
ただし、利上げ自体が遠のいたわけではありません。次回の12月会合で利上げがあると答えた人は76%でした。さらに過半数が、来年も平均で2回程度の利上げが行われると予想しています。
今回のFOMCでは、据え置きの決定に反対票を投じる投票メンバーが少なくとも2人出るとの見方も示されました。また、今すぐ利上げすべきだと答えた人は30%でした。
強硬派の代表格が、ジャナス・ヘンダーソンのリチャード・バーンスタイン氏です。名目GDP(物価変動を含む経済規模)が6〜8%で推移し、先行指標も軒並み強いのに、利上げに慎重な姿勢は理解しがたいと指摘しました。ブリーン・キャピタルのジョン・ライディング氏も、総需要とインフレ指標は利上げの必要性を示していると述べています。
これに対し、ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ氏は慎重論です。イラン戦争の激化、実質賃金の低下、金利上昇、人工知能(AI)関連株の不安定化を挙げ、インフレは高いものの定着の兆しは乏しく、追加利上げの時期ではないと主張しました。
要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査対象 | 運用担当者・ストラテジスト・エコノミスト30人(2026年10月のFOMC前) |
| 政策見通し | 今週据え置き93%、12月利上げ76%、来年は平均約2回の利上げ(過半数) |
| 経済見通し | 実質GDP成長率は今年2.4%、2027年2.2%(2025年実績2.05%)。1年以内の景気後退確率は26%(前回9月調査は29%) |
| 物価・雇用 | CPIは現在の3.7%から3.6%へ低下後、来年は2.6%。失業率は今年4.2%、2027年4.4% |
| 市場予想 | S&P500は今年末約7,600、来年末8,033(前回8,274)。10年債利回りは今年5%超、2027年4.8%。米原油は半年後88ドル(9月調査は82ドル、現在101ドル) |
S&P500の終値は10月26日(月)時点で7,676でした。
なぜ重要なのか・市場への影響
最大のポイントは、「今回は動かないが、次は動く」という見方がほぼ合意になっていることです。市場はすでに12月利上げをかなり織り込んでいるため、今後の経済指標が強ければ織り込みがさらに進み、弱ければ巻き戻しが起きやすくなります。
インフレの質も論点です。回答者の70%が、物価問題はエネルギー価格の上昇だけにとどまらないと見ています。原油が一時的に落ち着いても、物価が下がりにくいという認識です。また40%が、FRBは成長率を潜在成長率(物価を過熱させずに続けられる成長ペース)より低く抑える必要があると答えました。つまり、景気を意図的に冷やす局面を許容する声が最多です。
長期金利の背景も重要です。上昇要因として、インフレ、高成長、国債の大量発行、利上げ観測がほぼ同じ割合で挙がりました。供給面では、政府債務が主因との回答が50%、AI投資の資金調達に伴う債券発行が13%、両方が同程度との回答が約3分の1でした。10年債利回りが5%を超える水準は一時的な異常ではなく、新しい水準帯だとの指摘もあります。
株式市場にとっては、金利高とAIバブル懸念が重しになります。景気後退確率は低下したものの、リスク要因の筆頭はイラン戦争の長期化とAIバブルの崩壊でした。さらに回答者の63%は、議会の支配政党をめぐる法的争いが長引くことで、中間選挙後に市場の不確実性が高まるリスクを指摘しています。
通貨ペア・市場別の見方
- ドル円:米金利が高止まりし、利上げ観測が続く間は、ドルが支えられやすい環境です。ただし日本側の為替介入警戒や、リスク回避による円買いには注意が必要です。10年債利回りの5%台維持が一つの目安になります。
- ユーロドル:米国の追加利上げ期待が強まればドル高・ユーロ安に傾きやすい一方、景気減速懸念が強まれば反転する可能性があります。欧州側の金融政策との差にも注目です。
- 米株(S&P500):年末予想の7,600は現在値7,676をやや下回ります。大きな上値余地が見込まれているわけではない点に留意が必要です。
- 原油・資源国通貨:現在の101ドルに対し、半年後は88ドルとの予想です。イラン情勢が緩和に向かえば原油安、インフレ鈍化、金利低下の順に波及するシナリオもあります。
いずれも調査に基づく見通しであり、実際の相場は経済指標や地政学リスクで大きく変わり得ます。ポジションは余裕を持って管理してください。
今後の注目点
- 今週のFOMCの結果と、反対票の人数・顔ぶれ
- ウォーシュ議長の記者会見での、12月利上げに関する発言
- 次回のCPI(消費者物価指数)と雇用統計
- 10年債利回りの5%台での推移
- イラン情勢と原油価格(100ドル前後の動き)
- AI関連株の動向と、中間選挙後の議会をめぐる不透明感
よくある質問
Q1. なぜ今週は据え置きなのに、12月は利上げと予想されているのですか?
回答者の多くは、利上げの必要性は認めつつも、FRBが今回は動かないと見ています。そのうえで、物価の高止まりが続けば12月に動くと考えています。
Q2. 利上げ観測は為替にどう影響しますか?
一般に、米国の利上げ期待が高まると米金利が上がり、ドルが買われやすくなります。ただし、すでに織り込み済みの場合は、確認後に材料出尽くしで反応が小さくなることもあります。
Q3. 景気後退の可能性は高まっているのですか?
今回の調査では、1年以内の景気後退確率は26%で、前回の29%からやや低下しました。ただし、イラン戦争の長期化やAIバブル崩壊といったリスクは残っており、状況次第で見方が変わる可能性があります。
出典: CNBC Economy(海外発の公開情報を編集部が翻訳・解説)
※本記事は海外の公開情報をもとにマネチャ編集部が翻訳・要約・解説したものです。特定の取引や投資を推奨するものではなく、投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。相場・経済情勢は常に変動し、情報が後に修正される場合があります。