ユーロドルは10月12日(月)の取引で一時1.1200の節目を割り込み、1.1155前後と前日比0.40%安で推移しました。クリーブランド連銀総裁が「インフレが広がっており、利上げ方向の対応が必要」と述べたことでドルが買われ、米国とイランの戦争やロシアによるウクライナ侵攻といった地政学リスクもユーロの重しになりました。日足の相対力指数(RSI)は22前後まで低下し、売られ過ぎの水準にあります。短期的な反発はあり得ますが、下落基調そのものは続いています。
何が起きたのか
12日(月)はコロンバス・デーの祝日で、米国の現物市場は休場でした。経済指標の発表もなく、市場参加者の関心は要人発言と地政学ニュースに集まりました。
相場を動かしたのは、クリーブランド連銀のハマック総裁の発言です。総裁は、インフレが特定の品目から広い範囲に波及しているため、政策金利をいまより高くする必要があると述べました。さらに、FOMC(米連邦公開市場委員会)の参加者の中でも、自身の中立金利の見通しは最も高い部類に入ると説明しました。中立金利とは、景気を冷やしも過熱させもしない政策金利の水準のことです。
地政学面では、週末にトランプ米大統領が、ロシアとウクライナの間でエネルギー施設への攻撃を停止する停戦を発表しました。投資家は当初これを歓迎しました。しかしウクライナのゼレンスキー大統領が、ロシアがインフラを攻撃すれば戦闘は続くと警告したことで、原油の買い戻しが急ぎ足で進みました。
ホルムズ海峡をめぐる緊張も高いままです。イランは、海峡の再開に求める7つの条件について、米国が何らかの形で受け入れたと明らかにしました。ただ、情勢が落ち着いたとは言えません。WTI原油はこの日1.60%超上昇し、1バレル93.17ドルで取引を終えました。
要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ユーロドルの水準(10月12日) | 1.1155前後、前日比0.40%安。心理的節目の1.1200を割り込む |
| 材料となった発言 | クリーブランド連銀のハマック総裁が、インフレの広がりを理由に高めの金利が必要と指摘 |
| 地政学要因 | 米国とイランの戦争、ロシアのウクライナ侵攻、ホルムズ海峡の緊張 |
| WTI原油(10月12日終値) | 1バレル93.17ドル、1.60%超の上昇 |
| 今週の主な予定 | 米CPIは10月14日、米PPIは10月15日。ウォーシュFRB議長らの講演も予定 |
なぜ重要なのか・市場への影響
今回の下落には、金融政策と地政学の二つの要因が重なっています。
金融政策では、FRB高官から「利下げどころか、もっと高い金利が必要」という趣旨の発言が出ました。市場が織り込む米金利の水準が切り上がれば、ドルの金利面での魅力が増し、ドル買いにつながります。ユーロ圏の利上げ観測がそれほど強くない状況では、米欧の金利差がドル有利に動くため、ユーロドルには下押し圧力がかかります。
地政学面では、原油高が欧州経済に与える影響が意識されます。ユーロ圏はエネルギーの輸入依存度が高く、原油や天然ガスの価格が上がると、家計や企業のコストが増えて景気の重しになります。一方で、物価が上がればECBが金融引き締めを迫られる可能性もあり、通貨としてのユーロには両面の見方があります。ただ、現状は安全資産としてのドルが選好される場面が目立ちます。
祝日で参加者が少なかったため、値動きが実態以上に大きくなった可能性もあります。今週の米CPIの結果次第で、見方が変わる余地は残っています。
通貨ペア・市場別の見方
- ユーロドル:日足では、50日・100日・200日の単純移動平均線が1.1496付近に集まっており、現在値はそれを大きく下回っています。上値の目安は、下降トレンドラインを上抜けた水準だった1.1295付近です。その上は1.1496付近、さらに上には1.1849付近の水平線があります。RSIが22前後と売られ過ぎのため、短い戻りが入る場面はあり得ますが、戻りは売り場として意識されやすい地合いです。
- ドル円:米金利の上昇観測はドル高要因です。ただし参考にした報道には円側の具体的な水準が含まれていないため、方向感は今週の米CPIと要人発言を見て判断する局面です。円が売られやすいのか、リスク回避で円が買われるのかは、原油価格と米長期金利の動きに左右されます。
- 原油・商品:WTI原油は90ドル台で推移しています。ホルムズ海峡の再開の行方が次の材料で、条件の協議が進めば下落、決裂すれば上昇という二方向の変動が起こり得ます。
今後の注目点
- 10月14日(水):米CPI(消費者物価指数)。インフレの広がりが数字で確認されるかどうかが焦点です。
- 10月15日(木):米PPI(生産者物価指数)。企業段階の物価圧力を示します。
- ウォーシュFRB議長を中心とするFRB高官の講演。ハマック総裁の発言と同じ方向のメッセージが続くかを確認します。
- ドイツのHICP(EU基準の消費者物価指数)と、ECBのエルダーソン氏、エスクリバ氏の講演。ユーロ圏のインフレ動向とECBの姿勢を測る材料です。
- ホルムズ海峡の再開条件をめぐる米国とイランの協議、ロシアとウクライナの停戦の実効性。
よくある質問
Q1. ユーロドルはなぜ1.12を割ったのですか?
主因は、FRB高官のタカ派発言によるドル買いと、地政学リスクの高まりです。祝日で取引が薄く、値動きが拡大しやすかったことも影響しました。
Q2. RSIが22とは、すぐに反発するということですか?
そうとは限りません。RSIが低いのは売られ過ぎの目安ですが、反発のタイミングを保証するものではありません。下落基調が強い局面では、売られ過ぎの状態が続くこともあります。
Q3. 今週最も注意すべき材料は何ですか?
10月14日の米CPIです。インフレの強さがFRBの金利観測に直結するため、結果次第でドルの方向感が変わる可能性があります。発表前後は値動きが大きくなりやすく、ポジション量や損切りの管理が重要です。
出典: FXStreet(海外発の公開情報を編集部が翻訳・解説)
※本記事は海外の公開情報をもとにマネチャ編集部が翻訳・要約・解説したものです。特定の取引や投資を推奨するものではなく、投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。相場・経済情勢は常に変動し、情報が後に修正される場合があります。