2026年9月23日、イランの高官が「米国が軍事的圧力を緩和しイラン港湾への封鎖を解除すれば、7日以内にホルムズ海峡を再開する」と提案したことが伝わり、ドル円は157.00円付近まで急落した。しかし下落は長続きせず、すぐに157.50円付近まで戻した。イラン国会議長が同日「米国の圧力には屈しない」と発言したことで、市場はこの提案を「実現前の交渉材料」と受け止め、原油安を通じた円買い材料としては不十分と判断したためだ。一方で日米の金利差は拡大方向にあり、ドル円の底堅さを支えている。
何が起きたのか
ホルムズ海峡はペルシャ湾の出入り口にあたる海上輸送の要衝で、世界の原油輸送の多くがここを通過する。日本は原油のほぼ全量を海外からの輸入に頼っており、支払いはドル建てで行われるため、原油価格が下がれば円売り需要が減り、理論上は円高材料になる。9月23日、イランの高官がロイター通信と共同通信に対し、米国が軍事的圧力を緩和し港湾封鎖を解除すれば1週間以内に海峡封鎖を解くと伝えたことで、ブレント原油は1バレル=100ドル前後で取引され、円買いが一時的に強まった。同日、トランプ大統領は国連での演説で「双方は合意に近づいている」と述べたが、その数時間前には「交渉が決裂すればイランを破壊する」との強硬発言も繰り返していた。さらにイラン国会議長は同日「米国の圧力には決して屈しない」と表明しており、条件付きの提案が実際の海峡再開につながるかは不透明だ。原油の即時の値下がりにつながらない限り、日本の輸入コストや為替需給は変わらないため、円買いの勢いはすぐに失速した。
要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ドル円の値動き(9/23) | 157.00円付近まで下落後、157.50円付近まで戻す |
| イラン側の提案 | 米国が軍事圧力緩和・港湾封鎖解除すれば7日以内にホルムズ海峡を再開すると表明 |
| 原油価格 | ブレント原油、1バレル=100ドル前後(9/23時点) |
| 日銀の政策金利 | 9月18日に7対2の賛成多数で1.25%に引き上げ(1995年4月以来の高水準) |
| 米国の金利見通し | FRB当局者が年内あと1回の利上げを支持、年末の政策金利予想中央値は4.1% |
なぜ重要なのか・市場への影響
中東情勢と日米金利差という2つの材料が同時に働いている点がこの局面の特徴だ。原油安は本来、輸入コスト減を通じて円の支援材料になるが、今回のイラン提案は「条件付き」であり、実際の供給再開を保証するものではない。市場参加者はこうした地政学リスクのヘッドラインに対して、実際の政策変更や物理的な供給変化が確認されるまで持続的な反応を見せにくい。むしろ現状で相場を動かしているのは、日米の金利差だ。米国の複数の連邦準備制度理事会(FRB)当局者が9月16日の利上げを支持し、年内にもう1回の利上げを見込んでいる一方、日本銀行は9月18日の利上げで政策委員9人のうち2人が反対に回るなど、追加利上げに慎重な姿勢も残る。ドル資産と円資産の金利差はおよそ2.6%ポイントに達しており、円を借りてドル資産を買う取引(いわゆるキャリー取引)が続く限り、この金利差が円安圧力として働き続ける構図になっている。
通貨ペア・市場別の見方
- ドル円:156.50円を上回っている間は上昇基調とみる向きが多い。上値の目標は200日移動平均線が位置する157.50円台、その上の158.00円、さらに159.00円が意識される。下値は157.00円(直近安値)、156.50円、156.00円(日銀利上げ前の水準)が節目。
- 介入警戒ライン:158.00円は、9月19日(金)に日本の通貨当局が為替レートを金融機関に確認した「レートチェック」が伝わった際の水準に近く、この水準を超えると口先介入や実弾介入への警戒が強まりやすい。
- ユーロドルなど他通貨:今回の材料は主に日本円と原油需給に紐づくため、ユーロドルへの直接的な影響は限定的。ただし米金利見通しの上振れはドル全体の支援材料となり、対ユーロでもドル高圧力がかかりやすい局面。
今後の注目点
- 9月25日(木):日本の休場明け、東京の銀行が全面的に取引再開
- 9月25日(木):日本の製造業PMI速報値(予想54.8前後)。強い数値は日銀の追加利上げ観測を後押しする可能性
- 9月25日(木)〜26日(金):複数の米地区連銀総裁の講演(ニューヨーク連銀、クリーブランド連銀、フィラデルフィア連銀など)
- 9月25日(木):米新規失業保険申請件数(予想20.1万件、前回19.6万件)
- ホルムズ海峡を巡る米国・イラン間の交渉の進展有無、原油価格の動向
よくある質問
Q1. ホルムズ海峡が再開されればドル円は円高に向かいますか?
可能性はあるが確実ではない。日本は原油のほぼ全量を輸入に頼っており、原油安は円買い材料になり得るが、今回の提案は条件付きで実現時期も不透明なため、実際の供給再開が確認されるまでは反応が限定的になりやすい。
Q2. 日米の金利差はドル円にどう影響しますか?
金利差が拡大するほど、円を売ってドルを買う取引の妙味が増し、円安・ドル高圧力になりやすい。現状は日本の政策金利1.25%に対し米国側の水準が大幅に高く、この差が縮まらない限りドル円の下支え要因になり続ける可能性がある。
Q3. 日本の通貨当局による為替介入はあり得ますか?
9月19日にレートチェックが実施されたと伝えられており、これは過去に介入の前段階とされてきた動きだ。ただし9月25日以降は東京の銀行取引が全面再開し、取引量が増えることで介入の効果は薄れやすいとされる。158.00円を超える上昇が一つの警戒ラインとして意識される。
出典: FXStreet(海外発の公開情報を編集部が翻訳・解説)
※本記事は海外の公開情報をもとにマネチャ編集部が翻訳・要約・解説したものです。特定の取引や投資を推奨するものではなく、投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。相場・経済情勢は常に変動し、情報が後に修正される場合があります。