2026年9月9日、ドル円相場は過去に日本の通貨当局が介入を実施した155円付近の水準を下抜けて下落し、円が対ドルで底堅さを見せている。カナダの金融大手スコシアバンクのストラテジスト、ショーン・オズボーン氏とエリック・セオレット氏は、この動きをテクニカル的に重要な変化と位置づけ、円高がさらに進む可能性を指摘した。背景には日本の賃金統計の強い結果と、9月18日に予定される日本銀行の金融政策決定会合での利上げ観測がある。海外FXでドル円やクロス円を取引する投資家にとって、155円という節目の攻防と152〜153円のサポートラインは当面の重要な監視ポイントとなる。
何が起きたのか
ドル円は9月9日の火曜日、ニューヨーク時間入りの時点で0.1%程度の小幅な円高で推移していたが、これはアジア時間に一時1%近くまで進んだ円高の勢いがやや落ち着いた結果だ。注目すべきは、ドル円が過去に日本の財務省・日本銀行が市場介入を実施した155円近辺の水準を下回って下落した点である。スコシアバンクのオズボーン氏とセオレット氏は、この155円割れを単なる一時的な値動きではなく、テクニカル分析上「意味のある」変化とみている。
この日は経済指標の発表が重なる「重い」一日だったとされる。労働者の現金給与総額を示す賃金統計は市場予想を上回る強い結果となった。一方、政策的な重要度はやや低いとされる4〜6月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、小幅な下方修正となった。市場参加者の関心は依然として、日本の政府・日本銀行が通貨安を食い止めるためにどのような姿勢を取るかに集中している。政策当局者は9月18日の金融政策決定会合を前に、タカ派的な発言を強めながら市場の値動きを注視しているとみられる。同会合では0.25%の利上げがほぼ完全に織り込まれた状態にある。
要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準日 | 2026年9月9日 |
| ドル円の動き | 過去の介入水準155円付近を下抜け、対ドルで円が小幅高(同日ニューヨーク時間入り時点で0.1%高、アジア時間は一時1%近い上昇) |
| 賃金統計 | 現金給与総額が市場予想を上回る強い結果(同日発表) |
| GDP改定値 | 4〜6月期実質GDPが小幅下方修正(同日発表、政策的インパクトは限定的) |
| 次回日銀会合 | 9月18日、0.25%利上げがほぼ織り込み済み |
| テクニカル水準 | サポート153円・152円(2026年安値付近)、レジスタンスは155円超 |
| 分析元 | スコシアバンク(ショーン・オズボーン氏、エリック・セオレット氏) |
なぜ重要なのか・市場への影響
ドル円が過去の介入水準を下回って推移することは、市場心理に少なからぬ影響を与える。155円付近は日本の通貨当局が実際に円買い介入を行った実績のある水準であり、そこを割り込んで円高が進むということは、投資家が「介入への警戒感が薄れつつある」あるいは「日銀の利上げ観測がドル売り・円買いの材料として上回っている」と受け止めている可能性を示す。
強い賃金統計は、日本国内の実質賃金や消費動向の改善期待につながり、日本銀行が金融正常化(利上げ)を進めやすい環境を裏付ける材料となる。一方でGDP改定値の下方修正は景気の実態面ではやや弱含みを示すが、政策判断への影響は限定的と受け止められている。市場全体としては、9月18日の利上げがほぼ確実視される中で、日銀のタカ派姿勢と当局の口先介入・実弾介入への警戒感が綱引きする展開が続くとみられる。金利差の縮小観測は米長期金利や米国株、ドル指数にも波及しうるため、為替だけでなく債券・株式市場の動向にも注意が必要だ。
通貨ペア・市場別の見方
- ドル円:155円を明確に下抜けた場合、次のサポートは153円、さらに2026年安値付近とされる152円が意識される。152円より下には目立ったサポートがないとされ、下抜けた場合は下落が加速するリスクがある。逆に155円を回復・上抜けした場合はレジスタンスとして意識され、戻り売りが入りやすい局面となる可能性がある。
- ユーロ円・ポンド円などクロス円:ドル円の円高地合いが強まれば、他の対円通貨ペアも連動して円高方向に振れやすい。特に日銀の利上げ観測が強まる局面では、円全体の需給が引き締まりやすく、クロス円の下落圧力にも波及しうる。
- 前提シナリオ:9月18日の日銀会合で0.25%利上げが実施された場合は「織り込み済み」として材料出尽くしの反応になる可能性がある一方、利上げが見送られたり、当局のタカ派発言が後退したりすれば、円売りが再燃しドル円が155円を再び上抜けるシナリオも想定される。
今後の注目点
- 9月18日の日本銀行金融政策決定会合の結果と、植田総裁(またはその後任の政策委員会メンバー)による記者会見での発言内容
- 日本の財務省・金融当局による口先介入や、要人発言の頻度・トーン
- 米国側の金融政策・経済指標(雇用統計、消費者物価指数など)の発表スケジュールと、日米金利差の変化
- ドル円の152円〜155円のレンジ内での値動き、特に節目突破時の出来高やボラティリティ
- 今後発表される日本の追加経済指標(消費者物価、鉱工業生産など)
よくある質問
Q1. なぜ155円が「介入水準」として意識されているのですか?
155円付近は過去に日本の財務省・日本銀行が実際に円買い介入を実施した実績がある水準だからだ。市場参加者はこの水準を「当局が動きやすいライン」として意識し、接近するたびに警戒感が高まりやすい。今回はその水準を下抜けて円高が進んだため、テクニカル的な転換点として注目されている。
Q2. 9月18日の日銀会合で利上げが決まったらドル円はどう動きますか?
利上げ自体はほぼ市場に織り込まれているため、決定直後は「材料出尽くし」でドル円が反発(円安方向)する可能性もある。ただし、日銀の今後の利上げペースに関するタカ派的な発言が伴えば、円買いが続きやすい点には注意が必要だ。
Q3. 152円を割り込むとどうなりますか?
スコシアバンクの分析では152円より下には目立ったサポートが見当たらないとされており、割り込んだ場合は下落ペースが速まるリスクがある。ただし相場は常に流動的であり、当局の介入観測やニュースフローによって急な反発が起きる可能性もあるため、断定はできない。
出典: FXStreet(海外発の公開情報を編集部が翻訳・解説)
※本記事は海外の公開情報をもとにマネチャ編集部が翻訳・要約・解説したものです。特定の取引や投資を推奨するものではなく、投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。相場・経済情勢は常に変動し、情報が後に修正される場合があります。